六ヶ月

みどりが生まれて半年が経った。保育園にデビューした。案の定泣きわめいているようだが、慣らし保育は順調だ。妻も少しずつ仕事に復帰し、家は居る場所から帰る場所になっていく。

あの日の夜、小さな病院でみどりが誕生したときのことをまだはっきりと覚えている。二人が三人になり、すべてがみどりを中心に回り始めたあのとき。とても新鮮で、素敵な六ヶ月だった。


五ヶ月を過ぎた

本を見せるとじっと見るようになった。

左右どちらにも寝返りできるようになった。おむつ替えのときでも遠慮なく寝返りするようになった。うつ伏せでしっかり顔を上げるようになった。両脇を抱えて立たせてやると、足を交互に出して歩く仕草をするようになった。

60cm の服は膝が出るようになった。Sサイズのおむつは窮屈になって、Mサイズかパンツ型になった。

離乳食の練習に少しずつお粥を食べられるようになった。保育園のためのミルクも少しずつ飲めるようになった。

手を握る力が強くなった。目の前におもちゃを出すと手を伸ばしてつかむようになった。つかんだおもちゃを振って音を鳴らすことができるようになった。


朝、とうちゃんの着替えをかあちゃんと覗きに来て、目が合うとけたけた笑う。

とうちゃんは、相変わらず帰りは遅いが帰宅が楽しみになった。


風邪をひいた

毎年、冬中盤くらいまでは風邪をひかないので、今年はノー風邪イヤーなんじゃないか?と思ったりするが、そうはいかない。今年も熱が出て頭痛で動けないくらいにはしっかりやられてしまった。例年と違うのは、みどりがいることだ。妻は二人の面倒を見なければならならない。しかも、戦力だった人間はプラス分を打ち消すのみならずマイナスを作り出している。

こういうとき、少しでも何かできることがあるなら…と手伝おうとしたりするのはかえってよくない。案の定つまらない言い争いをしてお互いしょんぼりした。病人は病人としての立場をまっとうし、ただただ眠ることで回復を図りつつ気配を消しておくべし。

それでも毎週の写真は撮った。マスクでパジャマでかっこわるいけど、それも記憶であり、記録である。

みどりは僕が風邪だろうと健康だろうと、腹が減れば泣くし眠くなればぐずるし、楽しければ笑うし気になるものはじいっと見つめる。

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